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ピアノソナタ「田園」第15番 ニ長調 Op.28 有馬みどり ベートーヴェン全曲演奏会Vol.Ⅳ

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2017年9月7日 兵庫県立芸術文化センター
それは19年6月28日への序章ハンマークラヴィーア https://youtu.be/-hI0mbNjEKc
自由と孤独―― 山村雅治
Ⅱ <有馬みどり ベートーヴェン連続演奏会>Vol.Ⅳ
曲目解説
ベートーヴェン
:ピアノソナタ 第12番 変イ長調 Op.26 「葬送」
:ピアノソナタ 第15番 ニ長調 Op.28
:ピアノソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1
:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第15 番 二
長調 Op.28 「田園」(1801)
第1 楽章 アレグロ(二長調)
第2 楽章 アンダンテ(二短調)
第3 楽章 スケルツォ アレグロ・ヴィヴァー
チェ(二長調)
第4 楽章 ロンド アレグロ・マ・ノン・トロ
ッポ(二長調)
前三作には冒頭楽章にソナタ形式が用いら
れなかった。この曲ではふたたび以前のピアノ
ソナタの形式に戻っている。また「第8 番・悲
愴」や「第13 番・月光」にみられた烈しい情熱
の噴出もない。ベートーヴェンの作品には激し
さとやさしさの両面があり「怒れる獅子」その
ものの音楽もあれば、とても人懐っこい音楽も
ある。「田園ソナタ」を近寄りがたい音楽に感じ
る人はいないだろう。
第1 楽章を特徴づけるのは開始部の二音(D)
の低音の連打。ティンパニを連想する人もバグ
パイプを感じる人もいる。第1 主題は簡素で穏
やかだ。第2 主題はイ長調で歌われる。第2 楽
章はベートーヴェンが好んで弾いた曲だ。アン
ダンテ(歩くような速さ)で、と指定されたこ
の楽章の低音部はベートーヴェンの散歩の足
どりを思わせる。ベートーヴェンが残した手記
には自然の美しさを賛美する言葉がいくつも
記されていた。弟子のツェルニーはこの楽章を
「素朴な物語 – 過ぎし時のバラード」と呼んだ。
終結部の不気味さと烈しさにはなにを秘めて
いたのだろう。第3 楽章は三部形式のスケルツ
ォ。ここには笑いがある。スケルツォは洋楽が
日本に移入された時代には諧謔曲(かいぎゃく
きょく)と訳された。イタリア語では冗談の意
味があり、ベートーヴェンは交響曲やピアノソ
ナタでは先人たちが書いたメヌエットに代わ
りスケルツォを書いた。中間部は農民の踊りの
ようだ。第4 楽章はロンド。
異なる旋律を挟みながら、同じ旋律(ロンド主
題)を何度も繰り返す形式。昔の訳語は輪舞曲
もしくは回旋曲。冒頭にふたたびバグパイプが
響く。高音部の旋律にヨーデルの歌声を聴いて
もいい。


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