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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番「月光」Op.27-2 嬰ハ短調

ピアノ  松田祐輔 

撮影日時 2021年11月2日(火)
撮影場所 王子ホール
リサイタルのプログラムにて演奏

ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第14番 「月光」 Op.27-2 嬰ハ短調

第一楽章 Adagio sostenuto 0:00
第二楽章 Allegretto 4:54
第三楽章 Presto agitato 7:15

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.14 “Sonata quasi una fantasia”(Mondscheinsonate) cis-moll Op.27-2

ベートーヴェンのピアノソナタの中でも、そのポピュラーな旋律によって広く親しまれている、1802年の作品。ベートーヴェンが書き記したのは「幻想曲風ソナタ」という部分であり、「月光」の呼び名は詩人ルードヴィヒ・レルシュターブにより寄せられたコメント(「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」)から採られている。レルシュターブはシューベルトのリートを作詞していることなどで知られている。
第一楽章の厳かさ・精神性はそのロマンティシズムと相まって夜曲としてのイメージを想起させるかもしれないが、それだけでは説明のつかない諦観とでもいうべきトーンで覆われている。それが第三楽章で激しい昂ぶりをもって展開されるとき、この感情の噴出が極私的なものに起因している可能性が示唆される。嵐、稲妻、そういった人間が抗えない猛威の中で地を踏みしめるベートーヴェンの姿が見える。
当時のベートーヴェンは、ピアノソナタを始め弦楽四重奏曲など、従来のジャンルを咀嚼、研究しながら新たな作曲上の問題に取り組もうとする、ある意味で過渡期を潜っている。この作品に関しても幻想曲というタイトル通り、即興的な要素が持ち込まれたり、初めて意識的にペダル(当時は肘梃子)の使用(第一楽章)を細かく明記したりと、さまざまなアイデアを聴くことができる。この時期の諸作の数々は同年、ハイリゲンシュタットにて遺書を作成した後に踏み入れることになる傑作の森として芽吹くことになる。

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