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ピアノソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1 有馬みどり ベートーヴェン全曲演奏会Vol.Ⅳ

自由と孤独―― 山村雅治
Ⅱ <有馬みどり ベートーヴェン連続演奏会>Vol.Ⅳ
曲目解説
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第12番 変イ長調 Op.26 「葬送」
:ピアノソナタ 第15番 ニ長調 Op.28
:ピアノソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1
:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1 (1801)
第1楽章 アンダンテ‐アレグロ‐アンダンテ(変ホ長調)
第2楽章 アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ(ハ短調)
第3楽章 アダージョ・コン・エスプレッショーネ(変イ長調)
第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ(変ホ長調)
(第3、第4楽章をひとつの楽章と捉え、3楽章構成とみることもできる)
ベートーヴェンはこの2作品で大きな実験を試みた。当時の聴衆にとっては、まさに現代音楽に接する思いがしただろう。厳格な楽式にのっとったソナタと自由な幻想曲との融合が試みられている。明確なソナタ形式の音楽は「第14番・月光」の終楽章にようやく現れる。「第13番」にはソナタ形式の楽章がひとつもなく、さらにはすべての楽章を切れ目なしに演奏するように指示されている。また、それまでの作品では冒頭楽章に曲の性格を語らせていたが、この2曲では終楽章に曲の重心が置かれるようになった。のちに自ら切り拓いていく中期の傑作「交響曲第5番・運命」の造型は、すくなくともその祖型はここに創造されていた。
第1楽章はなにげなく柔和な主題で始められる。中間部はハ長調の烈しい八分の六拍子の舞曲。ハ短調を経て変ホ長調に戻り、アンダンテ主題が回帰する。音を減らしていく終結部から休みなしで続く第2楽章。明記されていないがスケルツォだろう。次に続く第3楽章アダージョは終楽章への導入部ではなく、ABAのまとまった形式をもっている。アレグロの第4楽章は変ホ長調に戻る。ロンド形式ではあるけれども、提示部の反復がないソナタ形式にみえる。ベートーヴェンの隠れた力作だ。


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