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ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「幻想曲風ソナタ 月光」 井上アキ子

2022年6月1日収録
ピアノ:井上アキ子
ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「幻想曲風ソナタ 月光」

 この曲は、1801年(ベートーヴェン31歳頃)に作曲され、弟子のジュリエッタ・グイッチャルディ伯爵夫人に献呈されました。
 ベートーヴェンは、20代後半から難聴が悪化し、音楽家として致命的であると絶望し命を断とうとまで追い詰められ、1802年には「ハイリゲンシュタットの遺言書」を書くこととなります。そこには、芸術という神から与えられた使命の為に生きるという内容も含まれています。その様な心境に至るまでには、どれ程の葛藤があったのでしょうか。

 ベートーヴェンの死後、ルートヴィヒ レリシュタープが第1楽章について「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟の様だ」とコメントしたことから、長い間「月光ソナタ」として親しまれてきました。
 しかし最近の研究では、ベートーヴェンはモーツァルトのオペラ「ドンジョバンニ」が好きで、騎士長が息を引き取る場面の音楽から第1楽章の着想を得たとされ、実際にベートーヴェンの手書きのスケッチも残されております。
又、第1楽章の右手の付点のリズム『ターン タ タン』からも「葬送行進曲」と考えられます。このリズムは、ベートーヴェンのソナタ第12番や、ショパンのソナタ第2番、バラード第1番等にも表れております。
 第2楽章はメヌエットで、後のリストが「谷間に咲く百合の花」と言っているように、暗いモノローグの第1楽章と、嵐の様な絶望の第3楽章との間に束の間の光を感じられます。

「幻想曲(ファンタジア)」とは本来曲の中で目まぐるしくテンポや拍子や調が目まぐるしく変化する即興的な曲の事です。又、多楽章ではなく、一つの流れの音楽の中に現れる多彩な変化を特徴としています。そのためか、楽章の間にはattacca(切れ目なく演奏)の指示があり、
1楽章の右手の旋律的モチーフが、各楽章のテーマに関連しているのも幻想曲らしい特徴です。

井上アキ子ホームページ
http://pianistolive.p-kit.com/


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